僕は猫を飼ってまして、断然猫派なのですが、絲山さんは犬を飼っておられますね。個人的な考えで良いのですが、犬と猫の決定的な違いとは何だと思いますか？

機嫌をとるか、とられるかの違いかと思います。

小説を書くことで世界を変えることはできるでしょうか？こんなことを考えるのは危うい考え方でしょうか？

自分の世界観は変わるかもしれませんが、それ以外は全くわかりません。考えません。

40才代になり、しみじみ変わったなあと感じることは何ですか。外見ではなく中身で。

若い男性と話すことに照れくささがなくなりました。開き直ったというか。あとは肉体の衰えはひしひし感じています。

手書きで文字をお書きになる際、小説、手紙、宅配便のサインなどで、字面は変わりますか？

手紙は少しはマシですが、全般にとんでもない悪筆です。父の字に似ています。

いちばんすきな「青」はどこにありますか？

冬の空は好きです。宝石とかはあんまり興味ないです。セリカコンバチの青も好きです。あと野反湖の青は特別だと思っています。

犬2匹との暮らしはいかがですか？

やむを得ない事情で散歩をサボることの罪悪感が、こんなに大きなものとは思っていませんでした。

京都について、どんな印象をお持ちですか。今後小説の舞台にされることはありそうでしょうか。

地元の人しかわからない、面白いものがたくさんある街。京都の友達は昔から多いので（出身じゃなくても）可能性はあると思います。

犬を飼われていますが、なぜ犬なのか、なぜ二匹なのか教えてください。

犬はもともと好きだったのですが、二匹いれば何かと彼ら同士での会話のようなものもあるだろうと思いました。それと、同時には死なないだろうというズルイ考えもあります。

ご自身の作品が、映画化されることについて商業的（出版社的）理由を除いて本心では、どう思われますか？

観客の方に、景色と音楽を同時に堪能してもらえるすばらしい機会だと思います。

季節の変わり目で好きな時季はありますか？

ちょうどこれからですね、秋の始まりが好きです。

年齢を重ねる（経験を積む）につれ、新たな感動が少なくなることに、寂しさを感じますか？

群馬に住んで、毎日のように何か（自然のもの）に感動するようになったので、若い頃はわからなかったんだろうなと思うことがあります。ご質問と逆ですね。

純文学と大衆文学の違いは何ですか？

先日のFMでは「ジャズとボサノバ」なんて気取ったことを言いましたが、もうこういう違いはこれから必要なくなってくると思うんです。

関西人が北関東になじむ（暮らす）ためには、どういう心構えでいけば良いと思われますか？

「お笑いみたい」と言われても怒らないで下さい。慣れてないだけなんです。あと、おいしい野菜、果物をがたくさんありますので、探してみて下さい。

好きな作家が外国人だった場合、原語で作品を読む努力はしますか？

ル・クレジオは何冊か持ってます。でも読めるわけじゃないです。気になる単語を見て、なるほど満足って程度です。

何か良い幻聴対策があれば教えて下さい

これは私ではなく、主治医にご相談ください。

あらゆる仕事の中で共通する大事なことはなんだと思われますか。

納期を守ること。金額を明確にし、きちんと集金すること。この二点につきると思います。小説家でもそうですよ。

おうちも建てて、犬も飼って、これから新たに始めたいと思っていることってありますか？

一人で一戸建てに住むって大変なんですね。数年かけてそのペースをきちんと作っていかなければいけないと思っています。

（たとえば中上健次を思い浮かべたのですが）絲山さんにとって書かなければならないものって何ですか？

なんだかんだ言って、一度も社会のことが書けていません。焦るつもりはないですが、少しずつでも近づくアプローチをしたいと思います。

自分のものになって一番わくわくするモノは何ですか？

月並みですみませんが、やはりクルマです。

きれいだと思ったこと、またはものを思いつくだけ教えてください。

阪神桧山のバッティングフォーム、ウチの近所の前方後円墳、シボレー・コルベット、フェンダーのテレキャスベース、野反湖、敦賀の水島、フクイズミ（ばんえいの馬）、そんなもんでいいでしょうか。

神様は存在すると思いますか？

私にとってはいると思いますが、その神様が人と共通のものとは思いません。